BOOM THE miniature GARDEN


2001.7.1  
札幌ポエトリーリーディング「文月の夕べ」
by さっとさん

2001年7月1日(日)
札幌ポエトリーリーディング2001「文月の夕べ」に行ってきました。
会場は「BLOCH」という、小劇場です。
多分、ザムザ阿佐ヶ谷よりも、ず〜っと小さな劇場だと思います。
狭い小さなステージのすぐ目の前から客席は雛壇になっています。
席は6〜7段あり、私の席はE列18番、5段目です。
ステージに向かって、中央やや左より、
ステージを少し見下ろす角度です。

会場のライトが落ち、いよいよ、開演。
宮沢さんが詩集を3〜4冊持って、拍手とともに登場。
ステージの宮沢さんに、ほんのりオレンジのスポットライトが当たる。
白の半そでのシャツ(ポロシャツ風・薄い縦のストライプ入り)と
白のパンツという、とても涼しげでさわやかなスタイル。
靴は黒のトレッキングシューズのようなしっかりしたヤツでした。
中央の椅子(高い背もたれつき)にすわり、
詩集を脇のテーブルに置き、
眼鏡をかけ、「こんばんは」と挨拶をする。

「未完詩」を開き、(付箋紙がいっぱい付いていた)
いよいよ、最初の朗読が…

「うんち。  うんちとうんこっ…」

と、ここで宮沢さん、吹き出してしまう(会場・笑)
宮沢さん、笑いながら「すみません、育ちがいいもんで…」
と言うようなことを言い、
ペットボトルの水を飲み、気を取り直して、

『うんち』
『うんち その弐』
『ハエを追う』

私は個人的に『ハエを追う』が結構好きなので嬉しかった。
だって、この詩の内容ときたら、うちのお茶の間を見ているようで
思わず、ニヤリとしてしまう。
ハエの方を見る事もせずに、安々と叩き殺すテクは私にはないけど。
右腕を振り上げ、バシッとハエを叩くジェスチャー付きでした。

『バカばっかり』
自分を含め、人間を客観的に見ている詩だなと思った。

ステージと客席がとても近いので
宮沢さんの細かな表情、しぐさが手に取る様にわかり、
会場が狭い分、緊張の空気も濃いような気がしました。
「みなさん、あまり緊張しないで下さいね」
「後ろの人、大丈夫ですか?
 狭くて、半ケツ状態になってませんか?」
(会場爆笑)と
優しく気遣ってくれた宮沢さん

『言っちゃいけない言葉がある』
なんと大好きな「夜ふかしの凡人」からの一篇
《言っちゃいけない言葉》たち、
「このハゲ!!」とか「ムカツク〜」など、
それぞれ、声色、調子を変えながら読む。
ちなみにファーストフードの営業笑顔風に
「ポテトもいかがですか?」と言った時
私と目が合い(合ってないって!?)、ドキリとする。
角度的には何度か視線が合いやすい場所でした(*^_^*)
すでに私の瞳孔は開きっぱなし。

『大好きな君』
「僕は似顔絵を描くのが好きなんですけれども
クリスマスに好きな女の子の似顔絵を描いたときのことです」
テーブルの上にあった、紙にシャープペンシルを
走らせ、実際に似顔絵を書きながら、朗読。
前の方に座っていた女性のお客さんに
「じゃ、あなたを描きますね」
まるで独り言をいいながら絵を書いているように
間をおきながら朗読する。
一節、一節、お客さんの笑いを誘う。
ワクワクしながら、朗読を聴き、
宮沢さんの似顔絵の仕上がりを待つ私たち。
最後にモデルになった女性に似顔絵をプレゼント。

鶴来さんが拍手とともにステージに登場する。
キーボードを演奏する。

『んなっちまったぜ』
鶴来さんの音楽と絡み合うように
ますます表現豊かに、声の調子を換え、
身振り、手振りで、いろんな「〜っちまったぜ」を朗読。

『サル』
なんだか会社勤めしていたときのこととか
思い出す…。
「まあ、おあいこってことで」のところで
右腕でサルの肩に腕をまわすしぐさ。

辻征夫『昼の月』
甘く優しく、とても切ない詩…静かにそして、しっとりと読む。
鶴来さんの演奏とともにうっとり、もう、とろけてしまいそう〜。
目の前で、あのお声で、そんなことおっしゃるなんて…
スギヤマさんじゃないけど、本当、反則です!
ほんっと、女性キラーなんだからっ(*^。^*)
いやいや、これは絶対、生の朗読を聴きたかったので、めちゃ嬉しかった〜。

『ゲバラとエビータのためのタンゴ』
宮沢さんは起立してマイクを持ち、リーディング。
鶴来さんが奏でるタンゴのリズムの曲とともに
読み進むほどに力強く、こちらに迫り来るように感じられた。
「〜〜に〜〜を」のくだりは
これでもかこれでもか、というほどの怒りややるせなさのようなものを
感じ、胸が痛む。
家で黙読していると、頭の中で宮沢さんの朗読が聴こえてくる詩。

谷川俊太郎『世間知ラズ』
「僕が一番好きな詩人・谷川俊太郎さんの詩
その中でも一番好きな詩は実は≪詞人から詩人へ≫には
載せませんでした。」

『煮物』
人生を振り返ったり、これからの人生を考えてしまった。
これでいいのか?自分…みたいな。
とりあえず、今、自分がやらなきゃならない事は
一生懸命やらなきゃとも。

ねじめ正一『東京羊羹』
いつも思うのですが、宮沢さんの滑舌の良さ!
こんなに長い詩をまさに《立て板に水》の如く、
しかも感情豊かに、ユーモラスに朗読してしまう。
(私はこの詩を読む時は必ずといって言い程、
声に出して読んでみる。)
「ブス・ブ男・・・東京羊羹を食べる・・・」
繰り返される言葉が何ともおかしい…。
客席から思わず笑いがこぼれてくる。
どんどん宮沢さんの朗読に引き込まれていく。
「…東京羊羹を食べるっ。」とフィニッシュが決まったとき、
ため息とともに大きな拍手が。圧巻です。
宮沢さんも、ほっとした笑みを浮かべ、唇を指で
なでてました(唇、渇いたのかな・笑)

鶴来さんが再び登場し、
宮沢さんはマイクを持ち、ステージに立つ。
鶴来さんに曲目を伝えて(声は聞こえなかったけど)

♪『10月』をしっとりと切なく、歌う。
宮沢さんの歌声は会場全体を包み込むように響いてきました。
そして、私たちは歌のオブラートに包み込まれているようでした。

♪『遠い町で』
北海道ということで、この歌を選んでくださったのでしょうか。
道内在住のMIYAファンは、この歌は私のための歌!と
誰もが思っているに違いない!(別に道内ぢゃなくたって…)
とても感激でした。
こんなに近くで、この歌を聴くことが出来るなんて。
なんて深い愛とやさしさが溢れている歌なんだろうと。
私の心の中にはいつもこの歌がいて、
私を励ましてくれているのです。

『それがぼくです』
確か今度のアルバムに入れる新曲の歌詞とのことです。
「荒れた手…」で、始まるこの詩、
もう、「これって、私のこと?」ってずうずうしくも思ってしまった。
感動です。
愛に満ちています。
もう一度、聴きたいです!
この詩にどんな曲がついて、
どんな歌になるのか、とても楽しみです。

大きな拍手の中、深々とお辞儀をする宮沢さん。
そして、ステージから一旦退場しました

そして、CHABOさん素敵な笑顔で登場。
帽子がかわいい。チャコールグレーのニット、茶系のパンツ姿。
とてもスマートで、50歳になんて見えません!

CHABOさん、客席が近くて、びっくりし、
「近いなぁ〜!」と少し照れ笑い。
「最初に一曲、歌わせてね」と、ギターを弾きリズムに乗る。
かっこいい!こんな間近で、CHABOさんのギタープレイを
見てるなんて、なんか夢のようです。
ギターを弾く指に釘付けです。

♪『?(曲名がわかりません)』
 ♪〜今夜のお宿、サッポロ・BLOCH〜 と歌詞を変えて歌ってくれた。

CHABOさん、ちょっと高めの椅子に腰掛け、
青の表紙のポケットファイルをぺらぺらめくり、
「緊張するなー、宮沢くんはよく落ち着いてできるなぁ…」
客席もCHABOさんのMCに笑。
いよいよ、朗読 が始まる…静寂…

CHABOさん、「…うんち。」、会場大爆笑!

以下、CHABOさんが朗読した詩(歌詞)や雑記の数々です。

『顔』          
『カビ』         
『夏の色調(いろあい)』         
『うぐいす』        
『ミステリー』
(だったと思う…)
『SUMMER SAMBA』 
『潮騒』          
『カルピス』
*CHABOさん、 「この詩は短いよ〜、だけど深いよ〜」
『ホームタウン』
『新宿を語る 冬』
*CHABOさんが生まれた街、新宿について
『?(題名がわかりません)』*CHABOさんの気に入ったCDをBGMに朗読

雑記 『サマーホリディ』
中学生の時、T君に誘われて山中湖の別荘に行った事、
T君のお姉さん、音大生のバイオリンさん…
思春期の頃の大人の女性に対するドキドキする気持ち
がよく現れていた。

雑記 『THE BEATLES日本公演』
これを読む前に
「すごいことを発見した!」CHABOさん。
「1966年にビートルズが日本に来たときって、
オレは高校生で、宮沢くんが生まれた年なんだよね」
と。
実は私は中学の頃、ビートルズが大好きでした。
私が生で感じる事が出来なかった、
そのときの様子やCHABOさんの思いが
「何が何だかわからなかった…」と
繰り返す言葉の中に込められていた。

CHABOさんは詩を読み終わると、
笑顔で片手で握りこぶしを作り、
軽く振るポーズ(ヤッタ!!のポーズみたいに)をとり、
終了の合図。
ご自分で、「お、これ、いいね。」と言って
その後、ずっとこのポーズで終わらせました。

CHABOさんはMIYAとの初対面のことや、
パートナーのおおくぼひさこさん(カメラマン)が
若き日のBOOMを撮ったときに
「BOOMはみんないい子たちよ〜」といっていたこと、
BOOMのライブを観に行って、
「宮沢くんはもっと生真面目な感じだと思っていた」のに
イメージが違った(笑)ことや、
ちょっと高くなっているドラムのところから
大股広げジャ〜ンプ!しちゃう事を「すごいよねーー!!」と
たいそう感心していらっしゃった。
こんな感じで、MCもたっぷりとサービスしてくださったのです。
どこかいたずらっぽい少年のような笑顔で話してくださる
CHABOさん、とっても、暖かくて、いいムードでした。

♪『ティーンエイジャー』をギターを弾き、歌う。
CHABOさんの味のある歌声とギターに魅了されてしまいました。

♪『ガルシアの風』
私の斜め前方に座っていたCHABOさんファンらしき女性が
思わず、立ち上がって拍手していました。
皆も立ち上がりたかったに違いないのですが、
なんせ、狭いので我慢・我慢という感じでした。

そして、一旦退場。

次に、新ユニット『麗宮』(れいみや)&鶴来さん登場!

CHABOさんはスライドギターを持って、向かって右側の椅子
MIYA、左側の椅子

MIYA、詩集を持ち、マイクに向かって一言、
「…うんち。」 会場またもや大爆笑!
もう、こうなったらネタですね、これ。

CHABOさんのギターとMIYAの朗読

『切符』
『キーはある』 
 

MIYACHABOさんの拳のポーズで終了の合図(笑)

MIYA、緑色のモーリスのアコーステックギターを持ち
鶴来さんも加わり、
CHABOさんのリクエストで ♪『I'm in love with you』
セッションする。
前奏で、CHABOさん
「おっ、宮沢、ギターいいねぇ〜、BOOMのギターの子もいいけどね〜」(笑)
もう、半端じゃない! CHABOさんのギターとMIYAのギターが絡み合う。
すごいグルーブ感がビシビシ伝わってくる。
お客さんは立ち上がりたいのを我慢して座ったまま、手拍子でノリノリ。
眼鏡姿で歌うMIYAの『I'm in love with you』も格別。

MIYA♪『さなえちゃん』(古井戸)をギターを軽く鳴らし、歌う。
この曲は予定になかったんだと思いますが、さわりだけ歌ったとき
客席から「きゃー歌って〜〜!」と拍手が鳴ったので…。

次にMIYAのリクエストで ♪『ギブソン』(RCサクセション)
MIYA
、途中、ハープを吹く。
2コーラス目はMIYAが歌う。
ブルーズィーなMIYA
CHABOさん、MIYA鶴来さんのソロプレイあり、かっこい〜。
特に鶴来さんのキーボードのソロプレイ、
間近で見たのは初めてだったし(キーのタッチとか)、すごい迫力でした。
もう、ほれぼれです!

再びCHABOさんのリクエストで ♪『ここが僕のふるさと』
歌う前に、
CHABOさん 「自転車に乗って〜って言うのも好きなんだよね」
MIYA「口笛が吹けない、ですね」

CHABOさん「BORN IN 新宿!! BORN IN 山梨??」
MIYA
うなずき、「BORN IN 山梨」

鶴来さんはアコーディオンを弾く。
最初はMIYA、2コーラス目はCHABOさんというように
ボーカルを交互に取っていた。
ほのぼのした雰囲気の中にも
やはり、かっこよさがバシバシ出ていて、気持ちよかったー。

鳴り止まぬ拍手の中、お二人は「カーテンコール!」といいつつ、
手を繋ぎ、深々とお辞儀をし、MIYAは手を振りつつ
ステージから退場して行ったのです。

アンコールの拍手が鳴り止まなかったのですが、
会場が明るくなり、終了のアナウンスが入り、本当に終了。

開演5:30、終了が8:30と3時間にも及ぶものでした。

このユニット『麗宮』・・・
なんだか、すごいぞ〜。
MIYAの憧れの人、スーパーギタリストCHABOさんとのセッション。
私は高校生の頃、RCでCHABOさんを知りました。
私にとってもCHABOさんはスーパーギタリストです。
青春時代を語るに外せない存在でもあり、
私たちよりもずっと前を歩いてこられて、
ロックをギターをそして、言葉を愛してこられた重みみたいなものを
ずしずしと感じずにはいられなかったと同時に、お二人のセッションに
とても感動してしまったのです。

ポエトリー・リーディング・ライブは初めての経験でした。
今回の「文月の夕べ」「未完の夜」とは違う形だし、
正直言って、どんなライブになるのか想像できなかった。
会場に入る前からとても緊張していました。
客席に着くと隣の方とピッタリ、
前後の方とはちょっと動くと触れ合うほどでした。
また背もたれのないベンチ型の長椅子だったので
緊張もますます高まったのかも知れません。
(背筋ぴーん、まさに姿勢を正して聴いてました)
しかし、この狭さと適度な緊張感はポエトリー・リーディング
会場としては最適で、雰囲気もなかなか良かったです。
朗読されるお二人の表情、たとえば、
顔の表情、身振り、声の調子、微妙な間の取り方など
繊細な部分まで見聞き取るには、大きなホールでは
無理だったでしょう。
ステージと客席、いや会場全体の空間が狭いほど、
より、心に響いてきたような気がしました。

そして、読み手、会場の雰囲気、空気(会場には前半、冷房が入っていましたが
途中で切られました。温度や湿度の変化、冷房機の音が消えた時に改めて感じた
静寂さなど)さらに、BGMの有無など、シュチュエーションの違いで
幾種類もの響きを放つものだなと思いました。

そして、さらに感動したのは、
去年の札幌での「詞人から詩人へ」のサイン会の後、
MIYAが憧れのギタリスト・CHABOさんのライブ(札幌ペニーレーン)を
観に行き、初対面を果たし、それがきっかけで、この「文月の夕べ」が実現した事。

札幌の地がこのお二人を惹きつけたのかな〜なんて
嬉しい気持ちです。

来年もまた、お二人のポエトリー・リーディング・ライブを開催してほしい
と切に願う私なのです。

なお、CHABOさんの詩は
CHABOさんのHP http://www.up-down.com/020chabo/  
の《歌詞集》で、
雑記「THE BEATLES 日本公演」は《だんだんわかった》で、
ご覧になれますよ。

文章はあんまり得意ではないんですぅー。
へたくそな文で、申し訳ないです。
読んでくれてありがとう!

レポ作成者 さっとさん


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